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現代国際政治を読み解く必読書
ウォルター・ミードの地政学の復活が2014年に発表され注目を集めた中、『The Tragedy of Great Power Politics』は前々から地政学の重要性を訴え、さらに歴史は終わっておらず、国際政治におけるパワーポリティクスが依然として重要であることを訴えた。攻撃的リアリストの観点から国際政治を分析し、現代におけるロシア、中国の動向を分析するための必読書。非常に理路整然としています。
コ**ー
「悲劇」の国際政治
これまで、国際政治は主に2つの潮流で学問的発達を遂げてきた。1つはリアリズムであり、もう1つはリベラリズムである。しかし、近年、リベラリズムはリアリズムに包摂されつつある。K・ウォルツが主唱したネオリアリズムが、そお発展過程において、ネオリベラリズムを凌駕しつつあるためである。このネオリアリズムの系譜を汲みつつ、ウォルツ理論に挑戦したのが、J・ミアシャイマーである。彼は、ウォルツが唱えた「国家は勢力均衡の維持に力を注ぎ、国際システムの安定を図る」という主張に真っ向から反対する。「国家は常にパワーの最大化を図る」そして「覇権の達成によって安定を享受する」と主張する。ウォルツの「防御的リアリズム」に対して「攻撃的リアリズム」と呼ばれる所以である。国家は常に競争を続ける運命にある。それが「悲劇」なのである。本書は、ミアシャイマーの信念からか初学者に対しても分かりやすい議論展開になっている。一方で、国際システムを過度に単純化しているという弱点もあるが、それは読む側の受け取り方の問題だろう。本書全体を通じて、ミアシャイマーは「中国脅威論」が近い将来、現実になると警告する。事実、中国の脅威が現実味を増していることを考えれば、「攻撃的リアリズム」を異端として無視することはできない。
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